自動離脱ミルカーが付きました

札幌牛舎は、現在、大掛かりなリフォームを行っています。

キャリロボの設置と自動離脱の搾乳機を導入することになりました。

f:id:hakkou-hidaka:20210128160916j:plain

天井にレールが施工されました。


長年、札幌牛舎では、ミルクメーターと警報機しか付いていない搾乳機を使用していましたが、漸くと言ってはなんですが、自動離脱が付くようになります。

搾乳機の取り付けに比べて、取り外しはそれほど難しいものではないですが、真空が抜けきらないうちに外した場合、牛が痛がり、それが牛の蹴り癖(特に初産牛)につながります。離脱装置を付けることで、その心配がなくなるのと取り外しの条件が一定になるので、乳房炎も防止できます。

日高農場では、10年前に自動離脱の搾乳機を導入していたのですが、今回導入したミルカーは同一機種ではなく、更に進んだ機種になっています。

以前導入した日高農場の機種は、乳量と自動離脱が行えるものでしたが、乳量に関しては、流速を使って計測している為、搾乳スピードで乳量が変わる為、乳検などに使用することが出来ませんでした。

 今回の機種は、乳検対応ですし、現在計画が進んでいる動衛研に乳サンプルを提供することも簡単に採取できるようになりました。

 また、乳温、電気伝導率も計測でき、乳房炎の早期探知も可能となり衛生管理としては、かなり進歩します。 

 ただ、データを飛ばすためにはWi-Fiの設備が必要ですが、牛舎にはない為、この工事も来月行います。

 今年で建設から50年を迎える古い牛舎ですが、中身はドンドンupdateしていきたいと考えています。

f:id:hakkou-hidaka:20210128161118j:plain

学園の牛は大きいので、間に入るのは大変ですが、しゃがむ回数が半分になるので、

私のように腰が来ている人には大変助かります。

 

 

今年もよろしくお願いいたします。

年明けまして、牛舎はいつもと変わらず、日常の作業をしております。

牛舎には、昔から不思議なジンクスみたいなものがありまして、世の中が休みになるような時に限って機械が故障したり、難産があったりします。ただでさえ休めなくて、気分が落ち込むような状況で、さらに気持ちを下へ落ち込ませるようなことが起きるのです。

 今回も正にその状況で、年末、年明けにかけてバーンクリーナが故障して、いつも以上に作業がに時間が掛かったり、この三連休も早朝、牛舎に来るとウォータカップのホースが抜けていて、牛は水浸しだし、バーンクリーナ一に溢れるほどに水が溜まっていたりとなかなか牛にとっても人にとってもハードな年明けになりました。

 さて、その中でも喜ばしいこともありまして、札幌牛舎で初の和牛の受精卵による子牛が生まれました。 1月2日とまさに正月の真っ最中でしたが、無事に生まれ、元気にミルクを飲んでいます。今年は、和牛、ホルの受精卵の分娩が春から続きますので、楽しみです。 12月に札幌牛舎で受精卵の採卵をして、4卵を生移植しました。その妊娠鑑定も今月にあるので、それもまた楽しみです。

 この生まれた子は、福之姫×安福久×安平の良血統です。 本当はメスが欲しかったのですが、今回はオスでした。一昨年前はメスだったので、今回は素牛で販売です。最近、福之姫の産子は、少し安くなっていますが、この血統なら価格も期待できそうです。 和牛用のミルクや餌も買ったりしたのですが、札幌牛舎の職員も今までホルしか知らなかったので、和牛用にいろいろとあるので新鮮みたいです。 

 昨年生まれた姉弟のメスですが、昨年に百合白清2を種付けしているので、こちらも今年メスが生まれたら、うれしいですね。 その後、できれば受精卵の採卵を行いたいと考えています。

 今年もいろいろと新しいことに挑戦していきたいと考えています。

f:id:hakkou-hidaka:20210112104940j:plain

生まれた直後の和牛の子牛(ホルと比べると小さいです)



企業と協力

 今年度から、企業とコラボする案件が増えてきました。

 夏前から初めていたのが、ブログでも報告していました、”レブセルSC”です。

 12月までの試験利用が終了しますが、その効果で最も知りたかったのが、耐暑性の向上でした。 血液検査など調べていますので、今後どのような結果になるのかが楽しみであります。

 糞便中の刈り遅れのデントコーンの子実の消化割合は、それほど変化はなかったので、硬いコーンの消化を向上させることはサプリメントの力を借りても難しいのかもしれません。やっぱり、刈り遅れを避けることのほうが大切なのだと言うことですね。何でも、サプリメントで解決してくれるわけではありません。

 けれど、7月、8月の分娩頭数が多かったですが、ケトージス、低カルなどの発症もほとんどなく、周産期病の予防効果に関しては、ある程度の効果があったのではないでしょうか。

 夏過ぎから初めているのが、NMR(磁気共鳴装置)を使った乳房炎検査装置へのサンプルの提供です。牛舎では、長年、黄色ブドウ球菌の乳房園には苦しんできましたが、このNMRの装置を使うと比較的初期の段階で乳房炎を探知できるので、早期の治療ができるとようになるかもしれません。黄色ブドウ球菌の乳房炎は、難治性で治療効果が上がらないので、臨床症状が出る前に、治療できれば治癒する可能性出てくるかもしれないので、今後の研究が期待できます。 また、NMRでは、ガゼインミセルの分析をしていているのですが、乳房炎の他に探知できる何かかがあるかも知れないので、その可能性も研究しています。 

 来年からは、牛舎内で使う新素材を使った酪農機材のヒーターの実証実験も始める予定です。このヒーターは、最近多いカーボンヒーターとは、全く違う素材を使ったもので詳しくは書けないのですが、牛舎内で使用するには非常に有効だと感じており、来年使えるのが楽しみです。

 他にも企業からサンプルを頂いて給与しているサプリメントもあり、いろいろと検証しています。 

 牛に病気が多いわけではないのですが、(ケトージスの治療もこの半年で2頭程度、乳房炎は1ヶ月に1頭出るか出ないかです。)予防も兼ねて給与しています。

 

f:id:hakkou-hidaka:20201228084037j:plain

こちらもサプリメントを給与して堆肥の発酵を促進させた。冬場でも発酵温度は60℃になる

 

南北海道市場見学

 10月、11月、2回に分けて南北海道市場に一年生を連れて見学に行きました。

コロナ禍で見学自体が難しい時期でしたが、この頃はまだ今ほど状況も悪くなかったので、できるだけ少人数で見学を行いました。

 10月には、メスを2頭、11月も去勢を2頭を出陳しましたので、学生達も学校の牛がセリでは一体いくらの価格になるのか、非常に興味深く見ておりました。

 10月のメスでは、福之姫で69万円(税別)と悪くない値段で落札されましたが、コロナの影響で、一時期よりはかなり安くなっていました。福之姫のメスの評価は、それほど高くなくって来ていることも影響してか、(血統の良い牛などは、皆さん保留している可能性が高いとか言われています。本校も受精卵で導入した福之姫は、全頭保留しています。)値が上がらないことも多いですが、今回はなかなかでした。

 11月の去勢は、2月の百合白清に次ぐ良い血統牛で、勝早桜×安福久で体重も340㎏オーバーと今年最後の期待の牛でした。

 GO TO トラベルやGO TO EATで市場の肉の値段も上がった来ていたので、11月の市場の動向は、非常に注目していました。

 開始早々から、良い値段で落札されていたので、本校の牛も期待しましたが、結果は89万円ととても高い値段で落札していただきました。(感謝、感謝であります。)

 今回の見学で、鈴音が高い価格で落札されていました。 本校でも、鈴音はかなり授精していましたので、今後の市場で楽しみですし、今は1頭肥育にもかけていますので、再来年の肥育の結果も楽しみです。(ほかに福之姫と美津照重を肥育しています。)

 また、コロナの状況が厳しくなって、12月の市場が心配になってきましたが、負けないで頑張っていきたいと思っております。

f:id:hakkou-hidaka:20201201090927j:plain

市場の値段を予想中

 

受精卵移植牛

 

f:id:hakkou-hidaka:20200819150128j:plain

     リニューアルした札幌牛舎と4Eを獲得したイライザ

 最近の学園では、いませんでしたホルスタインの受精卵移植の牛が今年は2頭生まれています。 2頭とも1昨年共進会で使っていた牛から採卵し、特に1頭は、日胆の共進会でリザーブチャンピオンだったジャコビー サブリナの子牛です。 アットウッドからの採卵の他に本牛自体もエアリフトでメスを生んでおり、2頭とも12か月令にならないのに体高が130㎝を超えており、親譲りの体格を備えております。今年は、コロナの影響で共進会がありませんでしたが、来年度、再開されましたら是非出陳したいと考えています。

 基本、私が以前いた日高農場で移植した牛がほとんどでしたが、今年は札幌でも移植を行っています。 今回は、日高農場から持ってきた和牛の受精卵を2個移植しました。 福之姫×安福久、福之姫×幸紀雄の2個です。 

 多くの方が”札幌牛舎でも和牛なの…”と考えていらっしゃると思いますが、実は、今までの八紘学園と違うことに取り掛かっております。

 今年度からホルスタインの受精卵を外部導入し、国産と海外の1卵ずつを受胎させています。

 50年前に海外からホルスタインを輸入して以来、ずっと自家繁殖してきましたが、ゲノム検査や今後の改良などを考えた上で今回の外部導入となりました。

 国産導入卵はエリザベスの血統でサクランド ユニクス エミリオ にサイドキック、海外導入卵はノナウデール ジャスミンの血統でノナウデール DM サンキッスドにロートラストとなり、国産受精卵は、来年の春、海外受精卵は夏に生まれる予定です。今年度中に現在繋養中の牛から採卵を予定しており、また、もう1卵国内受精卵を導入しています。

 もちろん、和牛の受精卵の導入は継続しており、日高農場では茂勝久を移植し、紀多福も購入しております。

 今後の八紘学園の牛の改良に注目してください。

 

 

4E獲得!!

f:id:hakkou-hidaka:20200814065555j:plain

10年ぶりに塗りなおした牛舎


7月末に体格審査があったのですが、初産82点が1頭、80点が2頭、2産目84点が2頭と、81点が1頭ずつ、7産目の90点と好調でした。

特に、イライザの7産目の90点は、4回エクセレントなった4Eと呼ばれるもので、非常に獲得が難しいもので、毎年、全国でエクセレント牛は、300頭程いますが、体形、能力を維持する必要がある4Eを獲得できる牛は、非常にわずかしかいません(道内で昨年4Eを獲得した牛は、6頭です。)特に最近では、エクセレントを取った優秀な牛は、採卵をすることが多く、連続してエクセレントを取ることは難しくなっていますから、なおさらです。

 学園の長い歴史のなかでも3回までエクセレントになった牛はいましたが、4Eを獲得したのは、初めてです。

 実は、この牛、5月にも体格審査を受けていたのですが、その時は89点でした。 分娩してからの時期を考えても、5月の、このタイミングがベストだと考えられましたが、乳器の点数が伸びず、エクセレントを獲得することが出来ませんでした。 

 本来なら、これであきらめるところですが、今年は、耕作科の働きもあって、素晴らしい牧草を確保でき、牛の食い込み(乾物摂取量)が増えたことで、牛の乳用性、肋幅などが以前より素晴らしく向上しました。そのおかげで、5月に体格審査を受けた状態よりもさらに良い状態になったため、再度、体格審査を受けることが可能になったのです。

 乳房の評価は前回同様88点と低かったのですが、体形は92点と高く評価され、体格点数として90点エクセレントを獲得し、4Eとなりました。

 今年度は共進会がなくなって、学生が興味や力を入れる対象が少なく、札幌牛舎の中で、何かできることはないかと考え、体格審査に力を入れることにしましたが、5月は、初産で84点、7月は90点の4Eの獲得と大きな成果を得ることが出来ました。

 20日に、綺麗に塗りなおした牛舎をバックに4Eのイライザの写真を撮る予定です。晴れるかな?

 

レブセルSCの経過

 

  九州地方の大雨で亡くなられた方、また被災された方に対してお悔み申し上げます。

学生の中にも九州出身がおりましたが、被害には合わなかったそうです。

 昨年、九州地方に肉牛農家へ訪問した際、人吉の温泉街に滞在し、居酒屋(銀の蔵だったと思います。)で美味しい鮎料理食べて、家族を連れて、また是非食べに行きたいと思っていたのですが、こんなことになるなんて。九州は、毎年大きな水害に遭うようになってきています。地球温暖化の影響(水温が高く、水蒸気が発生しやすい状態)でしょうが、梅雨前線が停滞すると大雨になることがパターン化しています。北海道でも、梅雨の様な状態が続きましたし、今までと違う気候の見方が必要かもしれません。 

 今年の牧草は、7月6日に終了しましたが、例年より4日ほど早く終わらせることができました。 前にも少し書きましたが、今年は、梅雨の様な状況で晴れる期間が短く、牧草を刈るタイミングが難しかったのですが、うまく収穫することができました。札幌で収穫した牧草の成分は、CPが乾物中12%と非常に高い数値なりました。 他の牧草にも期待です。

 さて、レブセルSCを給与しておおよそ1か月を経過しましたので、糞の状態を確認してみました。通称”うんち洗い機”と呼んでいるダイジェスション アナライザーで状態を見ることができます。 三層に分かれており、目の粗さの違うフィルターで便を越しとっていく方法で、消化状態を見ることができます。 

 最初の写真は、レブセルSCを投与している牛の糞の状態で、次の写真は、給与していない牛の便の状態です。10日目の写真を乗せています。

 フィルターの目が大きいところで繊維が多く残ったのは、やはりレブセルSCを給与していない牛でした。 ただ、期待したコーンの子実の分解は、あまり進んでおらず、これは、残念な結果になっています。 給与している方の2番目の細かい所に多くの残渣が残っていますが、明らかに一番目の粗い所の量は減っています。

給与してから1か月程度経過すると、さらに酵母の活動が進み、コーンの消化も改善される可能性があるので、また、この方法で調べてみたいと思います。

 この手のサプリメントは、給与を続けていくことも重要なので、今後も引き続き見ていきたい思います。

f:id:hakkou-hidaka:20200630162501j:plain

レブセルSCを給与している方の糞

f:id:hakkou-hidaka:20200630155821j:plain

レブセルSCを給与していない方の糞