学生が札幌に帰って、早1週間。 その間も日高農場の生活は、変わらず続いております。 この1週間で、人工授精した牛3頭、受精卵移植した牛1頭、次回に順延した牛2頭と繁殖に関しては、順調です。
(これって、牛を見る時間が出来たってことかしら??? 学生がいなければ、牛しかいないからね・・・)
 働いている人間は、2〜3人しかいないので、忙しいことは忙しいけれど、これが本来の姿ですし、体を動かしていることは好きなので牛や馬の顔見ながら楽しんでいます。
 学生がいなくなると、そんなに丁寧にやってられないこともあるので、餌の給与に関して変更をしたところがあります。
 いままで、水にふやかしたビートパルプを給与していましたが、これを中止して、そのままで給与しています。それままで食べるのならば、その方が乾物摂取量も増えるので(水を食べさしても、エネルギーにはならない)前までは、ペレットやマッシュ状の物を給与していると、牛が嫌がって食べなかったので、ふやかしたパルプを給与していたのですが、餌の内容も変更した(粉状のものが減った)のでこの際、一緒に変更しました。
 一時、乾草以外のTMRもどきを給与した時、平均で12000kgもミルクを出したこともありましたが(8頭平均ですが・・・)、でも乾草をあまり食べないため、乳脂肪などが低くなり、蹄病も多く問題が多かったです。今は出来るだけ、チモシーのロールパックサイレージを食べてほしいので、このときのようにデントコーンサイレージを多給していません。
 3年ほど前に清水町の浅野牧場に見学に行った際に、牛をパドックに出したら、2時間も3時間も草架で草を食べていると話されたのを聞いて、何が悪いかと始めてわかったのです。
 単純に餌を給与しすぎていたことに。そのころまでは、デントコーンサイレージを一日18kgほど給与し、更にふやかしたビートパルプも給与していたので、思ったほど乾草やロールパックのチモシーを食べてもらえなかったのです。(そりゃそうでしょう、一回の給与量が現物で軽く15kgはありましたから。) それにミルクは出るけれど、蹄病や食滞、ケトージスに悩まされました。
 乾物では、計算どうりなのですが、水分含有量が把握していなかったことで、現物の給与量が多くなりすぎたのです。(ビートパルプの水、サイレージの水分など)
 そこで、 サイレージを泌乳初期は、9kgまで、最盛期で14kgとしたのです。
 このおかげで、ルーメンアシドージスの発生が軽減され、食滞が減り、蹄病も減少しました。(ルーメンの活動が低下すると、ビタミンの合成する能力も低下し、真皮層で角質形成に必要なビオチンも減少するので、びらんが発生しやすくなる。)
 今年、ケトン症の牛が出ましたが、これは、前回の蹄病を完治させるため行動を抑制したため、乾物摂取量が減少して発症したと考えています。(乳期初期の乾物低下は、サイレージの多給も原因のひとつ)
 とにかく、良い草を出来るだけ多く食べさせること。 これが、牛の健康を維持すること最大の要因です。 だから、パドックに牛を出すと必ず牛が草架に真直ぐ行くか確かめ、どれくらい草架にいたか確かめる習慣が出来ました。 元気な牛は、草架に2時間近く頭を突っ込んで食べています。 そんなに食べられるのかと不思議に思うくらいに。