子宮脱

 難産が続くと書いてしまうと本当に難産が続きます。
先週のホルスタインの分娩では、予定日を10日ほど遅れ、これ以上予定日を過ぎれば、注射で分娩を誘発だねと話していたら、陣痛が始まりました。誘発剤を打つ時期は、本当に難しく、後産停滞を起こしたりするので、種牛にもよりますが、ホルだと10日前後、和牛だと14日前後(安福久は、20日くらい待ったけど、普通のサイズだった…)を目安にしています。 今回も、二次破水後、一時間たっても、肢が出ず、一時間半後で漸く足が出てきました。 二次破水後、二時間を一つの目安にしていますので、鼻が見えてませんが、曳きました。仔牛は、無事に生まれましたが、親が仔牛の面倒を見ません???四産目ですから、ベテランです。こう言う時って、仔牛に問題があるんですよね。 ちょっと、酸欠状態だったみたいで、麻痺があるみたい。ふらふらしている感じがあります。 自力で、ミルクを吸うことはおろか、飲み込むこともできない様子、取りあえず、500㎖だけ初乳をやり、獣医さんを呼びました。ステロイドなど注射してもらい、今では麻痺もなく、普通に元気良くミルクを飲んでいます。分娩の途中、胸や腰で痞えて臍の緒が切れ、酸欠になる場合がありますが、今回は、肢ですから、普通はならないはずです。けれど、後30分待っていたら、死んでいたと思います。引っ張って正解でした。 
 
と喜んでいると、祭日の夕方、”和牛がしっぽ上げているな、搾乳だから搾乳後見に行くか”と(搾乳時間は1時間くらい)思っていたら、搾乳が終わって、洗い物の準備をしていたら、”牛がひっくり返ってます!”と走りこんでくるではないですか。走って見てみると仔牛が頭で止まっています。陣痛ですが、いきみが普通ではありません。肢が天井に向くくらい気張っています。(ひっくり返っていると言う表現が正しいくらい)取りあえず、仔牛を引っ張り出すと後から大きな袋が押し出されてきます。
”え!!””マジ…子宮脱だ!!”親牛は大きな💩が出たような安堵の表情ですが、出ているものが違います。これ以上出させないために、体を横にしたままにしておきます。 すぐに獣医さんに連絡して、子宮を汚さないようにシートを敷いて、治療に必要なお湯、消毒剤を大量に用意、(フリーストールには、水道設備がない。)あとは、人間も多めに用意して待機してました。
 獣医さんも2名来てくれまして、分娩後、わずか1時間ほどで子宮は胎内に戻されました。 いきみも治まり、夜中には、反芻を始めました。牛へのダメージは、最低限で抑えることができたようです。仔牛も無事で大きな勝早桜の雌でした。あとは、子宮へのダメージ次第、癒着したりすると受胎できなくなるので、この後も心配です。(写真は、その親子です。平茂晴のETの繁殖牛なので、良血です。)
 まるで、分娩の期末テストのように、分娩の課題が出されます。年末なので、今年中に悪い運気を使っておきます。後、来年の運を上げる為に、馬頭観音をきれいにしたいと思います。