円山公園

 円山動物園の事故は、大変悲しいものでした。
今日も、キリンが死んだとニュースで発表されました。
同じ動物を扱う者として、個々の生き物の対応について、考えさせられる事故でした。
 日高農場もここ数年で、和牛牛舎を立てたりして、一気に飼養頭数を増やしました。(現在総頭数、ポニー、和牛、ホルスタイン合わせて、100頭以上です。)急に頭数が増えると、牛どうしの事故も増えます。

 その中で緊張感が高まるのが、牛の移動です。
 和牛素牛の出荷、次に空いた独房への離乳仔牛移動、次に1か月間で分娩した親子をバイオベッド牛舎へ、次に分娩する妊娠牛を空いた分娩牛舎に一気に移動します。決して、1頭だけの移動は、しません。
 なぜ、一気にするかと言いますと、牛へのストレスを最低限にするために対策なのです。
 特定の牛(弱い牛)への攻撃を避けるには、その牛に注目が集まらなくする必要があります。(特に、当場の繁殖雌牛の多くには、福栄の血が入っているため、多少性格がきついこともある)
 そこで、一気に動かし、牛の意識を分散させることで、特定の牛への攻撃を弱めているのです。(完全に無くなるわけでは、ありませんが。)
 また、離乳する仔牛も2〜4頭をひとグループにして大きめの独房に数日間入れます。 この独房からは、親の姿は見えませんし、仲間もいるので、比較的スムーズに離乳できます。
 当場の和牛用のグループ分けは、繁殖で、最大5つになります。内訳は、育成2(6か月以上1、13か月未満18か月まで1)繁殖成牛3(分娩用1、3歳まで1、3歳以上1)で、素牛は、最大で4つ枠があります。 
 移動場所が多いことで、いじめられる牛の留まれる場所をうまく探してやることができ、事故を少なくしていると思います。
 また、いじめっ子牛は、廃用しています。(特に、古参の牛は、群飼い馴れておらず、攻撃的なため廃用にしています。) 分け方は、年齢でなく、体のサイズと性格で分けています。
 牛舎が出来て5年近く経過して、最近ようやく牛たちが落ち着いてきました。 なぜ、わかるかって? 牛の牛舎の中にいる時間が最近ずっと長くなってきたからです。
 昔は、雨とか雪とかでも、強制的に入れないとだめだったけれど、今は、暑いとか風が強いとかでも、自分たちで牛舎に入ってくるようになりました。しかも全頭…仔牛を入れると40頭以上。すごく狭そうだけど、反芻して寝ています。 ようやく、こころ休まる仲間どうしになったのでしょう。