分娩

10年ほど前は、年に10頭前後の牛の分娩しかありませんでしたが(他に、ポニーや緬羊も同じくらい分娩がありました)、今では、ホル、和牛併せると、30頭を超えます。
そうなれば、分娩事故も増えてきます。
年末から、10頭分娩がありましたが、2件事故がありました。
 1件目は、脱臼(股開き)です。 分娩の途中で、起立した時、”パキーン”と音がして、”え?何の音??”と戸惑いながら、経過を見ていると、明らかに後肢の動きが変になり、”脱臼したな・・・”と。
 その後、無事に仔牛は産みましたが、 十字部の、右側は陥没し、肢に力が入らない状態に。
 起立はできたので、4日ほど経過を見ましたが、回復は難しいとのことなので、殺傷処分となりました。
 育成のころは虚弱で、管理の難しい牛でしたが、こうも簡単に脱臼するのかと、残念なりません。
 もう1件は、子宮捻転です。
 破水した言うことだったので、経過を見ていたのですが、起きている間は、尻尾を上げるのだけれど、寝ると全く力まない。 まだ早いのかなと思って、もうしばらく経過を見てもイマイチ陣痛が弱い。
 おかしいな思って、膣内に手を入れても、仔牛には触れない。 破水は、間違いだったのか、まだ早いのかなと思って、もうしばらく経過を見ていても、陣痛は強くならない。
 もう一度膣内に手を入れてみるが、奥まで入れても仔牛には触れない、何か捩じれているみたいで、羊水にすこし、血が混じっていた。
 これは、変だ!ということで獣医さんに往診をお願いすると
”子宮捻転です”
ローダーで牛の肢を吊り上げて、一回くるんとまわすと”ポン”と羊膜が出てきました
 あまりに急激だったので、産道がうっ血してしまった為10分ほど待ってから再度、助産・・・
 仔牛は、真黄色・・・胎便にまみれていました。
息はしていました。羊水だけなら助けることができたかもしれません、胎便を飲んでいるとまず無理です。
数時間後に、仔牛は死んでしまいました。
 分娩は、牛に限らず、命がけの大仕事です。
けれど、構いすぎても事故は起きますし、構わないでも事故が起きます。 何度経験してもその判断は難しいです。