北海道がこの冬、一番冷え込んだ日に和牛が分娩しました。 本来ならば、夏前に産むはずだったのですが、流産してしまい、結果として、真冬に産む事になってしまったのです。 ホルスタインの分娩は、本牛舎の中なので、真冬でも問題ないのですが、(子牛用暖房機(カーボン芯の最新式)がある)和牛は、フリーストールでの分娩。 私が来てから真冬に分娩なんてした事がない! 凍ったらどうしよう・・・・(前に緬羊の分娩で発見が遅れ、凍死させたことがある・・・緬羊って双子が普通だから、充分に乾くまで赤ちゃんを舐めないんですよ。)
 ”でも、遙か昔に実習していた肉牛牧場では、D型ハウスで生ませいたな。”なら、あの方法でと言うことで、分娩房に乾草を山ほど敷き詰めて、扉もカーテンも全部締め切って、これで大丈夫!!牛は子供が生まれると乾くまでしっかりと舐めてくれるから(羊水は、タオルで拭いてもきれいに取れない。 あの牛のザラザラの舌で拭いてもらうのが一番。)それに母牛は、子牛の心臓周りから舐め始めるしね。
 問題は、子牛が十分な初乳が飲めるかということ。 子牛が体内で持っているエネルギーは普通の気温で18時間ほど、温度低ければもっと早くに無くなる。 だからここは全薬からでた新しい人工初乳を飲ませることに。 1リットル強飲ませると、その後すぐに立ち、母親の初乳も飲み始めた。 夕方には完全に体も乾いたので、牛服を着せ、これでよし!! 後は様子を見ることに。生まれて3日ほど経ちましたが、子牛は至って健康。 母親も面倒を見ているようだし、ミルクも充分出ているようです。 
 動物の体は、すばらしく、その環境に適応するように変化する。 体には、赤色脂肪細胞と白色脂肪細胞があるのですが、赤色はエネルギーを熱に、白色はエネルギーを脂肪に蓄える、これは外気温で決まるそうなんです。 子供のうちは薄着をさせろというのは、この脂肪細胞の赤色を活性化させるためで(うちの子供は、いまだ毛布しか与えられていない・・・)そうすると、エネルギーが熱として発散されるので肥満にならない(息子の平均体温は、37度)わけです。 いくら食べても太らない人は、この赤色脂肪細胞が良く働いているわけです。
 今の子牛もこの状態。 だから充分にミルクが飲め、風、雪、雨が防げるのならこのままの飼育方法の方が健康的なのだと思う。