学生のレポートでよく扱われる題目が、”牛の移動ストレスについて”
学園では、札幌で最大限乳量を確保するため、乾乳牛は、日高に移動するのです。分娩約1か月前に移動するため、分娩後周産期病を発症することが多く、これまでも多くの学生がレポートで問題点を探しておりました。
 学生が、血液検査などでいろいろと問題点を指摘してきましたが、じゃ”移動ストレスって何ぞや”とちょっと書いてみましょう。
 移動が牛にストレスになるのは、まず、充分に摂食が出来ない。常に立ったままで長時間車に揺られる。夏など、道路なの照り返しで温度が高く、また何頭も詰め込まれているので体温が上昇するなどが考えられます。
 このことから、まず、牛の移動ストレスとは、脱水と疲労なのです。(当たり前のことなのですが) 
 脱水と疲労から、食滞を招き、その食滞からルーメンの活動を更に弱め、(普通は、ルーメンの活動が弱まるから食滞になるのだけれど、この場合は、食滞が先)牛を徐々に周産期病へと導いていくのです。
 脱水の改善には、カリウムなどの電解質と糖質の投与が良いされています。(これは、私のやっている馬の耐久競技で投与しています。) ただ、カリウムの投与は、乳熱を起こす危険性があり、乾乳牛には問題があるので、ここは何か別のもの(方法)を考える必要があります。  確か、電解質を多く取るとのどが渇くと耐久競技で聞いたことがあります。 移動後に水を飲み、電解質を摂取できれば、体の循環が良くなります。また、糖質などでエネルギーを供給してやれば、ルーメンの活動も最低限の低下で抑えることが可能だと思います。 そうすることができれば、ある程度のストレスを抑え、周産期病を防止できるかもしれません。(けれど事は、そんなに簡単じゃないのですが・・・乾乳期が長い、牛が太っているなどのほかの問題もありますから)
 ひとつだけの問題ならば、解決する事も簡単なのだけれど、複雑に絡み合ったことになるとその糸口を見つけることさえも難しい・・・・