愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。 ドイツの宰相といわれたビスマルクの言葉ですが、私の座右の銘です。
 私が愚者か賢者と言われれば、問題なく愚者でしょう。
20数年間、牧場で仕事をしていますが、いったい何頭の牛を死に追いやったのでしょうか・・・ あの時こうしておけば、あぁやっておけば助かったのにと、後悔した回数は、一回、二回では、すみません。
 もう少し勉強していれば、廃用にせず助けることができた牛もいます。
 もう少し判断を早く決めていれば、助けることができた子牛もいます。
 もう少し牛を見ていれば、異常に気が付くことができた牛もいます。
人間が一度に経験できることには限界があります。 それを他者から学びとることができれば、より良い結果がだせるはず。
 酪農家のDNAが無い非農家の私が牛飼いになるためには、経験だけでは、充分ではない、文献や資料、他の酪農家の経験を自分の肉や血にしなければ、牛一頭さえも、満足に育てることができない。 これは、牛飼いを最初に始めた時に、痛烈に感じたことです。 
 でもね、人間って、自分の経験してないことを共有することが(理解することが)できないです。
 学生に、そうすれば、牛はこうなるだろ!!、そんなことをすると牛が怪我するだろ!! そんなやり方すれば、食滞するだろ!!
 自分の犯した過ちを繰り返せないために、まるで、姑が嫁に小言のように毎回、同じ様なことを学生に言ってしまう、けど知識として持っていても、経験の無い彼らには、それがどのような結果を招くか想像できない。
(それに、小言を言われて修正しているから、牛には何も起きないので余計に現実味がない)
 学生諸君、牛飼いの先輩達がそうするな!!ということには必ず意味があるんです。 その結果は、今でなくても、将来に影響することなのかもしれない。 だから、よく内容をよく理解して現場で生かしてほしい。
 実習も後1ヶ月半ほどで終了です。事故の無いようにがんばりましょう。