繁殖の話。 和牛の受精卵の話が前回でしたが、今回は乳牛の話。
今、日高の搾乳牛で2産を越える経産の平均乳量は、12000kg近くになります。 これだけ乳が出ると、少なからず弊害というものが出てきます。 それが、繁殖です。 最近の牛は、分娩してから30kgの乳量を越えるのに10日もかかりません。 よって、体に取り入れられる栄養やエネルギーがどうしても不足してしまいます。 (それは、エネルギーの素になる配合飼料を急激に増やすことは、牛の生理的に不可能なのです。 4日に1kgこれが限界で、最大量にするのに1ヶ月近くかかる計算。 もちろん順調に行っての話)そうすると、牛は、生き物の本能と言いましょうか、今を生きようとするわけで、体の維持、子供のための乳の生産にエネルギーを振り分けます。 よって、どうしても繁殖は、どうしても悪くなる。でも、90日前後でつけたいのが、経営的な本音・・・その頃、牛の乳量も最大となる頃・・・とても受胎するような環境ではありません。
 濃厚飼料を多く給与すると膿腫になったりいろいろな問題も発生します。 そこでPG(プロスタグランジン)というホルモンを注射して、発情を誘発するのですが、これもねぇ・・・・
 ちょっと考えて、プロスタグランジンの前駆体がリノール酸。これが子宮内に多いと受胎率が上がるらしい。で、脂肪酸カルシウムを給与すると、リノール酸を増えるらしい。 じゃやってみようとなったのです。
 が、これがまた嗜好性が悪い、悪い、石鹸みたいな匂いがしてわずか数十g給与している中に混ぜても食べない代物。 今は、配合飼料の中に混ぜ込んで匂いがわからないようにして給与していますが、まだ10gほど、100g程度給与しなくてはならないのに道は遠い・・・・・・